写メ日記
Therapist Blog
08/17 21:12 UP!!
ひかり
曖昧な記憶
小学校4年か5年くらいの頃、友達のいない俺は一人で探検ごっこをして遊んでいた。
通っていた小学校の近くにマウンテンバイクを止めて、普段人が立ち入らないような藪の中を1人何の恐れも抱かずに突き進んでいた。
自分の住んでいる街は比較的近年に開発されたニュータウンで、戸建ての家が立ち並ぶ閑静な住宅街だ。
街を少しはずれれば、古くからある神社や川、池など小学生男子が喜ぶアドベンチャーが盛りだくさん。
その日も何か未知の発見があるかと探検していたのだった。その日はたしか秋の終わりで冬に差し掛かっていた少し肌寒い日だった気がする。
道なき道を突き進んでいたつもりだったのだが、人が通った形跡のある少しひらけた場所に出た。
両親から、このあたりは最近開発された街で、まだ街を広げる計画があると聞かされていたため、開発工事の途中の場所なのかなと、何の疑問も抱かずにひらけた道をそのまま進んでいた。
気持ちは秘境を探検する冒険家だったのだが、俺は足を止めざるを得ない状況に陥った。
目の前にあったのは、いかにも不審な建物だった。
二階建ての一軒家なのだが、その家には窓枠はあるものの、肝心の窓がなかった。
おそるおそる家の中に入ると、ねじれて黒ずんだ柱、散乱した新聞紙、白骨化した謎の動物の死体、灰色に変色した箪笥。
ぞくりと身体に悪寒が走った。
俺はここでようやく事態の異様さに気がついた。
これはまともな建物ではない。
急いで来た道を戻ろうにも藪の中を進んでいたため、戻る道がわからなくなっていた。
そこから俺は一心不乱に猛ダッシュしてなんとかコンクリートで舗装されている道路にでることができた。
あの家はなんだったのだろうか。
もう一度確かめに行く必要がある気がする。